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2023/12/2

赤い羽根「外国にルーツがある人々への支援活動応援助成第3回」によって行った事業の報告

赤い羽根「外国にルーツがある人々への支援活動応援助成第3回」によって行った事業の報告

北九州多言語図書館は、2022年10月から2023年9月までの期間、「外国にルーツがある人々への支援活動応援助成第3回」の助成金を活用し、「外国にルーツのあるひとびとの孤立を防ぎ、支援へとつなぐ分散型多言語図書館の設置とコミュニティづくり」をおこないました。

事業の概要

本事業では、①アンケートによるニーズ調査、②蔵書の収集、③多言語本棚の設置、④本棚のスペースを活用した情報提供インフラ化・相談支援へのつなぎ、⑤事業を実現するためのウェブサイト構築、そして⑥広報活動をおこないました。

①ではウェブサイトに日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語、ベトナム語、モンゴル語でアンケートフォームを設置、北九州市および下関市で運営されている日本語教室への訪問と日本語学習中の外国人への意見聴取、地域の内外の外国人へのアンケートを通じて、どのような本のニーズがあるか、どのような課題を感じているかのニーズ調査を行いました。

②では、日本語以外の本、ならびにニーズのあったやさしい日本語の本を選定、購入しました。それと同時に日本語以外の本の寄贈を受け付けました。蔵書の収集にあたっては、地域の内外の各言語の話者に具体的な本の選定で協力を受けました。

③では、北九州市および下関市に多言語本棚を設置しました。

④では、本棚のスペースにどのような情報を掲示するかを検討し、外国人支援団体への相談窓口の情報を掲示しました。

⑤では、多言語化と蔵書検索機能に対応したウェブサイトを構築しました。

⑥では、Facebook、Twitter(現X)などSNS上での活動報告と協力要請、地域ウェブメディア「かんもんノート」、Yahoo!ニュースでの活動紹介、ラジオ局「Come On FM」の番組「MY HOMETOWN」への出演をおこない、事業の周知をおこないました。また北九州市、下関市の日本語教室、外国人雇用企業を訪問し、チラシを配布することで活動の周知をおこないました。それに加え、事業報告の一環としてMUFG PARKにおけるマイクロ・ライブラリーサミット2023への登壇申し込みをおこないました。

本助成による事業の成果

①では、SNS上での呼びかけにより288タイトルの具体的な本のリクエストやおすすめが寄せられました。言語は中国語、ベトナム語、タミル語、ロシア語、モンゴル語、イタリア語、スペイン語、英語、ドイツ語でした。ニーズ調査の過程で地域の実情を把握すると同時に多くの協力者を得ました。

②では、具体的なリクエストやニーズ調査に基づき、本を購入しました。具体的な本のタイトルの選定にあたっては、地域の内外の外国人に意見を聴取し、モンゴル語の本19冊、ベトナム語の本65冊、カンボジア語の本81冊、中国語の本12冊、英語の本4冊、やさしい日本語の本9冊、マラーティ語の本1冊を購入しました。このほかにモンゴル語8冊、ベトナム語、韓国語、フィリピノ語各1冊の寄贈を受け付けました。

③では、北九州市および下関市に多言語本棚を設置しました。設置したのはバス停のうしろの屋外型本棚、ゲストハウス、大学内漫画図書館、地域のマイクロ・ライブラリーです。

④では、本棚のスペースにどのような情報を掲示するかを検討し、外国人支援団体への相談窓口の情報を掲示しました。掲示した情報は山口県国際交流協会が提供しているもの、東京都大田区の一般社団法人レガートおおたが提供している全国対象のものの2種類です。

⑤では、事業の目的を実現するために多言語化と蔵書検索機能に対応したウェブサイトを構築しました。このサイトでは本を調べ、本の情報から本棚情報に飛ぶことができます。

⑥では、Facebook、Twitter(現X)などSNS上での活動報告と協力要請、地域ウェブメディア「かんもんノート」、Yahoo!ニュースでの活動紹介、ラジオ局「Come On FM」の番組「MY HOMETOWN」への出演、また北九州市、下関市の日本語教室を訪問し、チラシを配布することで活動の周知をおこないました。これらの活動によって人的なつながりがつくられ、多言語本棚の設置場所や協力者がみつかりました。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み

・実態の把握

いま地域に住んでいる外国人がどのような困難を感じているか、どのようなニーズがあるかは、現場で聴き取りをおこなうなかで初めて把握できることがあらためてわかりました。多言語本棚を展開していくうえで、実態の把握はその土台となるものです。引き続き日本語教室、企業などの訪問をおこない、実態把握に努めていきます。

・蔵書の収集の必要

地域のさまざまな場所に多言語本棚の設置が決まる一方で、設置する本の補充が課題として浮かび上がりました。寄贈のお願いをすること、本の購入に必要なファンドレイジングをおこなうこと、それらを実現するための人的なネットワークづくりを引き続きおこないます。

・より広範な言語への対応

活動を進めていく中で、私たちがウェブサイトの言語や蔵書において対応できていないカンボジア、ミャンマー、インド、フィリピン、モンゴル、スリランカ、中国、韓国の出身者たちと出会いました。その後、カンボジアのクメール語(カンボジア語)は本の入手まで可能となり、モンゴル語は本の代理購入、寄贈の受け付け、情報の拡散、リクエストフォームの翻訳までが実現し、中国語はウェブサイトの翻訳とリクエストフォームまで実現しています。韓国語はリクエストフォームの翻訳が実現しました。現在、とくに南アジア、西アジアの言語への対応が課題となっています。また本の購入について、英語の本の入手に課題がありリクエストに十分に応えられていません。私たちは大手書店サイトを利用しましたが、売り切れだったり発送不可となるケースが多数ありました。英語圏の協力者の必要性を強く感じています。より多くの人たちに関わってもらいながら、課題を解決していきます。

寄附してくださったみなさまへのメッセージ

日本にはさまざまな言語的アイデンティティをもった人々がおり、昨今その多様性は増しています。そのようななかで特に外国人集住地域がない地方都市(外国人散住都市)では、日本語に習熟していない外国人の人々の社会的孤立が問題となっています。

私たちがこの課題解決の一助として多言語図書館を構想し、最初の会合をもったのは2018年のことでした。しかし当時私たちは活動をスタートさせるために十分な仲間をみつけることができませんでした。活動資金をどのように得るかという課題も私たちには小さくありませんでした。

今回、みなさまのご寄附によって地方都市に分散型多言語図書館を展開し、そこに困窮時の相談窓口の連絡先を掲示するというプロジェクトを形にすることができました。そしてその活動の過程で地域の内外、そして国内外に新しい仲間や賛同者を得ることができました。当初、複言語話者の日本人だけで構成されていた私たちのチームも、実習生を含む外国人、外国出身者、外国にルーツをもつ人たちが加わってくれるまでになりました。

またこの1年間、私たちの活動は、地域の外国人だけでなく、地域の外にいる外国人やさまざまな言語の話者の「同じ言語の話者をサポートしたい」という思いを形にするものだということもわかりました。

これらは社会課題解決のために赤い羽根共同募金に寄せられたみなさまのご寄附がなければ実現しなかったものです。

どうか引き続き分散型多言語図書館を形にする私たちの活動を応援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

・寄附のお願い

北九州多言語図書館では、分散型多言語図書館を運営するためにみなさまのご寄附を募集しております。

「月々500円からのマンスリーサポート」のほか、折々のご寄附も受け付けております。

ぜひ多言語図書館プロジェクトをサポートしてください。

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